Photo by Michael Longmire on Unsplash
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EFエデュケーションのジョナサン・ヴォーターズに「突き崩せないお金の壁」と言わしめ、チーム格差をなくすためにサラリーキャップ(選手の年俸の上限を決める制度)の導入が議論されてしまうほどの資金力を誇るチーム・スカイ。

9年間で8回のグランツール総合優勝。

新スポンサーがINEOSに決まり、スカイ/INEOS最強時代はまだまだ終わりそうにありません。

ライバルチームの指揮官たちは何を思うのか。

ユンボ・ビスマのGM、リチャード・プラッグの意見が的を得ていたのでご紹介。

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彼らを倒すことは難しいが、打ち負かしたい相手がいるということは良いことだ。(ユンボ・ビスマGM)

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INEOSが新スポンサーとして決定した際に、ユンボ・ビスマGMであるリチャード・プラッグは下記のようなコメントを残しました。

我々はいつもスカイを追っかけていた。でもそれは悪いことだとは限らない。自転車界にとって、これほどの大きなスポンサーが新たに参入してくることは喜ばしいことだ。彼らを倒すことは難しいが、打ち負かしたい相手がいるということは非常に良いことだ。

どんなスポーツにも、大きな予算を持ったベストなチームがでてきて、数年間最強を誇る時期がある。サッカーだって、テニスだって、F1だって、自転車だって同じだ。そういうベストなチームが大御所になったとき、小さなチームが打ち負かす。これほどファンにとって興奮することはないだろう。

Richard Plugge(ユンボ・ビスマGM)

いわゆるジャイアント・キリングですね。

ログリッチを総合系エースとして擁するオランダチームは、グランツールを射止めることができるのでしょうか。

彼らは予算が大きかろうが小さかろうが、質・選手のレベル・革新性といった面での実力アップを図ろうとするだろう。我々だってその面では競争可能だ。我々は彼らを追いかけ、追いつき、そして賢く打ち負かす。いつだって最大・最強のチームはいる。おいてかれたチームは戦える場所で戦うだけだ。

Richard Plugge(ユンボ・ビスマGM)

ちなみにこのGM、サラリーキャップについては反対の立場を明らかにしています。

イネオスが新スポンサーとして決まったことは、自転車というスポーツがまだまだ魅力的な投資だと思われている証拠であり、本当の問題は、他のスポーツが富を得た源泉である商業収入をこのスポーツが得られていないことにある、と。

サラリーキャップ?冗談じゃない。我々はスポーツ全体としての成長に着目しなきゃいけない。プロロードレース界は商業的な知識が欠落している。自転車ロードレースは眠れる巨人だ。我々は巨人を揺り起こして未来に向かわなければならない。

Richard Plugge(ユンボ・ビスマGM)

スカイは資金を手に入れて正しく使った。我々にその資金はないが、それは彼らのせいじゃない。(UAE監督)

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総合を狙えるファビオ・アルやダン・マーティン、そして次世代の星・ポガチャルなどを擁するUAE監督は次のように述べます。かつてはサクソバンク時代にコンタドール等を率いていた経験もある監督です。

問題はお金じゃなくて、彼らのやり方にある。レースが面白みに欠けるんだ。同じようなやり方で傲慢に勝ちをさらっていく。

嫉妬はしていないよ。彼らは資金を手に入れ、それを正しく使った。確かに我々にその資金はないが、それは彼らのせいじゃない。

Philippe Mauduit(チームUAE監督)

いくらやり方が面白くないと言われても、それで勝ててしまうなら、そりゃそのやり方続けちゃいますよね、とは思います。

一方で、同じやり方を続けていたらいつか勝てなくなるのは明らか。どこかでライバルチームが同程度の資金を手にして、レースの組み立て方をコピーすればスカイは勝てなくなる。

その時が、自転車レースがもう一歩先に進む瞬間なんじゃないかな、と。

最強のチームはいつだっていた。そして我々はもはや3位争いに興味はない。(ボーラ・ハンスグローエ監督)

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グランツール優勝を狙える選手はいませんが、ボーラの監督のコメントも熱かったので紹介。

かつてのONCEのように、最強を誇るチームはいつだっていた。

我々はもはや3位争いに興味はない。(スカイ以外にも)勝てる選手がどんどん出てきている。総合順位を守るための戦いはしない。変わったんだ。

グランツールにリーダーたるチーム(スカイ)がいることは認めざるを得ない。でも、他のチームは、挑戦し、結果を残すためにここにいる。

Patxi Vila(ボーラ・ハンスグローエ監督)

ツール終盤で表彰台争いが始まると、総合トップが途端にイージーモードになる、そんなレースを見ると、ちょっと冷めちゃいますよね。

あくまで優勝を狙う、そういう攻撃的な選手が増え続けるとレースはどんどんおもしろくなるでしょう。

僕らは段々とスカイ打倒に近づいている。(サンウェブ監督)

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最後に、打倒スカイ・最右翼との呼び声高いトム・デュムラン擁するサンウェブの監督のコメント。

スカイは自転車チームを一つ上のステージに持ち上げることに成功した。

我々は、彼らに追いつき、そして勝つために努力を重ねている。ジロではもう少しでフルームに勝てるんじゃないかというところまできた。スカイへ挑戦することは決して不可能なことじゃない。

ビッグクラブが最強を誇るのはなんのスポーツでも同じだ。弱小クラブのファンや選手は、ビッグクラブに勝つことを夢見て楽しむ。そして、負けると落胆する。他のスポーツで見られる光景を僕らは自転車ロードレースで見ているんだ。

Luke Roberts(サンウェブ監督)

真正面からの戦いで、スカイに勝ち切る姿を見てみたいですね。

最後に

ヨーロッパ各国のサッカーリーグは、「おらが町 vs 憎きよそ者」の戦いから、商業化により信じられないほどの大量の資金がグローバルに飛び交うマネーワールドとなりました。

「資金があるチームが強くなる」という単純な法則と、行き過ぎた商業化に辟易して、不快感を露わにする人々もたくさんいたようではありますが、結局その流れは加速するばかり。

一方で、岡崎選手が所属したレスター(当時の人件費はリーグ20チーム中18位)が奇跡のプレミア優勝を果たすなど、商業化したスポーツにだってドラマはあります。

沢山の資金とファンを持つビッグクラブがあって、地元愛に溢れた小さいクラブがあって、ビッグクラブが偉業を達したりして、小さいクラブが奇跡を起こしたりして、そういうのがスポーツの面白いところ。

だから、スカイのようなビッグクラブがいることは自転車というスポーツにとってはプラスなはずだと私は思っています。夢ある世界であるために、より多くの熱狂を生み出すスポーツとなるために、選手のサラリーに上限を設けることはまだこの段階では得策じゃない。

自転車というスポーツは、より大きく成長を遂げることができるか。眠れる巨人は目をさますのか。

スカイという最強チームが君臨し始めた今が正念場です。

参考ソース

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