【続】エキセントリックなGM、ジョナサン・ヴォーターズが自伝で語ったロードレースの世界(後編)
Photo by Katyann Kintz on Wikimedia Commons

前編はこちらから。

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ヴォーターズ、SKYを語る。

the marginal gains – well, most of it was nothing new. We were using ice vests in 2008, we were warming up and warming down then too. We were testing vortex generators on skinsuits in 2009. The real innovations didn’t come until later on, with the $50m iteration of Sky. But in 2012, the year they first won the Tour, they weren’t that innovative – they just had a fucking good rider, Bradley Wiggins, in the shape of his life. The very same Bradley Wiggins that we once had.

(拙訳)マージナルゲインは特に新しいことじゃない。2008年には我々はアイスベストを使っていたし、ウォームアップもウォームダウンもやっていた。スキンスーツに関する空力テストは2009年には行われていた。本当のイノベーションまで、スカイの5000万ドル(50億円)の予算が必要だっただけだ。そして2012年ツールに関しては、彼ら(スカイ)は特別革新的だったわけじゃない。彼らが手にしたとんでもなく良い選手、ブラッドリー・ウィギンスが全盛期のパフォーマンスを発揮しただけだ。我々のチームに所属していたのと全く同じウィギンスがね。

ヴォーターズ、ロードレーススポーツ界で生き残ることについて語る。

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Surviving in cycling, whether as rider, mechanic or director, is like being a frog on a fragile lily pad: you must always be ready to jump to the next one. Conversely, if you always bluff and never convey to the broader world how dire your situation is, then you will miss sponsorship opportunities that may have always been there. That’s the balancing act. Don’t give off too much confidence because prospective sponsors will assume you’re just fine.

(拙訳)自転車界で生き残る ー選手としで、メカニックとして、又はダイレクターとしてー そのためには不安定なスイレンの葉っぱの上にのったカエルみたいになることだ。次の葉っぱにすぐジャンプできるよう、常に準備していなければならない。逆に言えば、世間に向けて自分たちが大変な状況にあると伝えずやせ我慢していると、せっかくそこにあるスポンサー獲得機会を失ってしまう。バランスが大事だ。もし虚勢を張っていると未来のスポンサーは何もしなくて大丈夫だと思ってしまうだろう。

ヴォーターズ、クリーンになったレースシーンを語る。

My answer? I just say that I have faith that some of the largest races in the world can be, and have been, won clean. That, having witnessed the change from the inside out, is something I truly believe.

(拙訳)私の答え?私は(ここ最近の)世界最大のレースはクリーンに勝てるし、勝者はクリーンだったという確信を持っていると、ただ言っておく。変化を徹底的に見てきた者として、これは私が本当に信じていることだ。

ヴォーターズ、スポンサー獲得の難しさを語る。

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They patted me on the back, and told me that with such a wonderful team and brand image, I was not going to have any trouble finding a replacement. None of them had ever raised the finance needed to run a cycling team, so their optimism was based on ignorance, which was hardly encouraging. The reality is that it’s incredibly difficult to sell sponsorship at that level in cycling. It doesn’t matter how much you win, or how much you grin.

(拙訳)彼らは私の背中を叩き、素晴らしいチームとブランドイメージを持ったチームがあれば、代わりのスポンサーを見つけることは簡単だろうと言う。きっと誰も自転車チーム運営のために資金調達をしたことがないのだろう。彼らの楽観主義は無知からくるもので決して励みにはならない。自転車チームへのスポンサーを探すことは信じられないほど難しいのだ。どれだけ勝とうと、どれだけにこやかに笑おうと関係ない。

You have to be ready to adapt, and often that will mean big changes. It’s not fun, but we adapt to so much in cycling – to sudden weather changes, terrain, accidents, road hazards. It’s a sport that plays out in an uncontrolled environment, so I suppose it’s only fitting that the business side can be an uncontrolled environment too.

(拙訳)私たちは適応に準備しておかなければならず、それはしばしば大きな変化を意味する。楽しいことではないが、自転車レースも同じだ。突然の天候変化、地形、事故、路上の危険…、コントロールできない環境でプレイするスポーツ。だから私は、(自転車チーム運営が)コントロールできない環境でのビジネスであるというのも、それに調和しているだけだと思うのだ。

道半ばのヴォーターズ。

勉強もスポーツもできなかった少年が、世界一興味深いチームのGMとなり悪戦苦闘するまでを綴った自伝。現役時代のドーピングやチーム運営難など、終始どこかシリアスでブラックな部分もありながら、それでいて自転車愛が溢れるストーリーは読みごたえがありました。彼がチーム運営から退く日が来るのは遠い未来になりそうですが、その時にはもう一度、これからも続くであろう独特な旅路を自伝で振り返ってみてほしいものだと思います。

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