6日間レース(Sixdaysシリーズ)をご存知でしょうか。ロードレースのオフシーズンに行われ、DJが音楽をガンガン鳴らしながら会場にはMCによるハイテンションなレース実況が流れビール片手に楽しめるトラック競技のレース。「トラックレースの華」「トラック界のパリピイベント」と呼ばれることもあるお祭り的イベントです。いつ誰がこんな企画をおもいつき、どのように進化してきたのか?長い歴史を持つ6日間レースの歴史を振り返ってみました。
起源は1600km(!)個人TT。薬物乱用を背景に生まれた二人一組のマディソン種目
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(あのウィギンスがカヴェンディッシュとペアを組んで引退レースに選んだのもロンドン6日間レース)
1878年、ロンドン北部のイズリントンという街で1000マイル(1600km)を6日間で走破する賞金レース開催されました。(1600kmといえば、青森から山口までの本州縦断の距離とほぼ同じ)このレースではDavid Stantonという選手が1日18時間、6日間連続で走り続け優勝し賞金を手にしたといいます。
その後、この過酷なレースはアメリカへと渡り、ニューヨークはマンハッタン、マディソン・スクエア・ガーデンで徐々に盛り上がり始めることとなります。しかし、不眠不休(!)で走り続けるため、その疲労と戦うために薬物乱用が多発。競技の公平性を期し、選手の体調管理が考慮されたことから”ハンド・スリング”と呼ばれるバトンタッチで有名な二人一組のチーム戦「マディソン」が生まれました。
その後、賭け事好きな文化とあいまってアメリカで成功を収めた6日間レースはヨーロッパに「逆輸出」され、マディソンをメインとしながらも様々な種目が文字通り6日間に渡って行われるイベントへと進化していきました。特にオランダ、ベルギー、ドイツではサッカーのリーグ中断期間のエンタメとして大きな盛り上がりをみせ、特にドイツでは1シーズンに常時5〜6レースが行われていました。
しかししばらくすると、フランス・パリやイタリア・ミラノ、そして発祥の地であるアメリカ・ニューヨークでは人気に陰りが出始め、ベルギーでも同じくロードレースのオフシーズンに行われるシクロクロス人気に押され、ヨーロッパ各都市で次々と開催休止が相次ぎました。
”Six Dayシリーズ”として生まれ変わった6日間レース。より国際的なエンタメに。
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(ロンドン6日間レースでは短距離個人種目に日本から競輪選手の小原佑太が招待出場、国際化に力を入れる)
そこで6日間レースを再び盛り上げようと2015年に始まった試みが、自転車競技イベントのプロモーティング会社、Madison Sports Group(MSG)によるSix Daysシリーズです。一年目は地元の活躍で大成功に終わったロンドン五輪会場のLee Valley Velodromeから始まり、その他にもドイツ・ベルリン、デンマーク・コペンハーゲン、オーストラリア・メルボルン、イギリス・マンチェスターと世界を回り、オーストラリアのブリスベンで幕を閉じました。
その後も新たな開催地を開拓し続けるSix Dayシリーズは、オランダのロッテルダムやアムステルダム、スペインのマヨルカ島、そして2019年3月には初のアジア開催として香港にも進出しています。また、今まで男子のみだった競技に女子競技も導入。現在行われている競技は、マディソン、エリミネーション、デルニー、200mTT、ケイリン、そして女子オムニアムなどです。
10月22〜27日にかけてロンドンにて初戦が開催されました。次に開催されるのはベルリンで、1月23-28日の予定。さらに、マンチェスター、ブリスベンと続きます。
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