アルペシン・フェニックスが2020年のプロチームランキングトップとなりグランツール出場権を得そうだということで、マチューのグランツールデビューが近いという記事を以前投稿しました。その後シーズンは無事終了して、同チームは出場権を得ています。
そんな中、おとといUCIがプレスリリースを発行。そのうちの一つのポイントが2021年の特例措置でグランツールのワイルドカード出場枠がひとつ増えるという内容でした。
the maximum number of riders at the start of the Grand Tours was exceptionally increased to 184 from the usual 176. This increase of eight riders will enable organisers, if they wish, to invite an extra team to their event under the wildcard system.
グランツールに出場できる最大の選手数を例外的に通常の176から184に増やす。この8選手分の増加によって、もし希望するのであれば大会主催者はワイルドカード出場枠を一つ増やすことが出来る。
コロナという背景を理由としているので、あくまで今年だけの処置という体ですが、この変化が何を意味するのか?どのチームに出場チャンスが巡ってくるのか?探ってみました。
地元チームを増やしたい主催者
今までの経緯を振り返りましょう。解散危機となっていたNTTがアソスをスポンサーに迎えてワールドツアー残留が決まったことで、プロチームの招待枠は3となりました。さらにアルペシン・フェニックスが全グランツールの枠1を確保したため、2021年グランツールのワイルドカード枠は2つのみ。
2019年までは4つだったワイルドカード枠が2つに減ってしまっているのですから、これは悩ましい問題です。
このコロナ禍で、選ばれなかったチームのスポンサーが離れてしまいチーム解散となってしまうリスクが決して少なくない以上、主催者としても下手な判断はできません。そこでジロの主催者であるRCS、ツールの主催者であるASO、そしてこうした当落線上の当事者であるチームがUCIに対して招待枠を一つ加える要望を提出し、それが受け入れられることになったということです。
さて、それでは各グランツールのワイルドカード枠「3」を手にするのはどのチームになるのでしょうか。
ツール・ド・フランス
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ツール・ド・フランスのワイルドカード枠は既に発表されており、アルケア・サムシック、B&BホテルズKTM、トタル・ディレクトエナジーとフランスのスター選手を抱え昨年も出場している3チームが選ばれています。一方、昨年のUCIランキングでは上位だったデルコですが、NIPPOのスポンサー離脱もあり大型補強もできず、他3チームと比べてしまうと目玉選手がいないこともあってか出場はかないませんでした。
ジロ・デ・イタリア
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UAEがイタリア系列とはいえ、イタリア籍のワールドツアーチームがない現状を考えるとジロ主催者にとってワイルドカード枠で存在感を出せるイタリアチームを招待することはかなり重要なミッションです。
イタリアのプロチームでランキング上位はアンドローニジョカトリ・シデルメク、バルディアー二CSF、EOLOコメタ、そしてヴィーニザブ。この中でヴィーニザブは昨年ジロでドーピング陽性を出してしまっているため現実的にワイルドカード枠獲得は難しいとすると、常連のアンドローニジョカトリ、バルディアー二に加え、今年からスペインからイタリアへ籍を移すと共にプロチームに昇格したEOLOコメタの出場が濃厚。コンタドールがGMを務めバッソと共同運営する注目チームがついにグランツールデビューを飾れるのか要注目です。
ヴェルタ・ア・エスパーニャ
ヴェルタのワイルドカードは、ブルゴスBH、カハルラル、エキポ・ケルン・ファルマ、エウスカルテル・エウスカディの4チームが有力候補と目されています。
ブルゴスBHとカハルラルが昨年でのヴェルタでの存在感を考えてみても一歩リードしている感がありますが、昨年プロチームに昇格した元バスクの名門エウスカルテルと、今年プロチームに昇格したばかりのケルン・ファルマも隅には置けない存在です。このなかから3つ。涙をのむチームはどこになってしまうのでしょうか。
参考ソース
- The UCI reinforces rider safety and its commitment to sustainable development | UCI
- Wildcard Dilemmas | INRING
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