カヴェンディッシュ「Twitterや雑誌の戯言なんてもう気にならない」
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積み上げた勝利の数は146。そのうち30勝はツールでのステージ優勝。しかし、ここ最近2年の勝ち星はゼロ。一時代を築いたスプリンター、カヴェンディッシュが勝つ姿はもう二度と見ることはできないのでしょうか。カヴェンディッシュがシーズン初戦サウジ・ツアーを終えてのインタビューをまとめました。

「もし勝ててないことを批判されるなら、それは僕が過去にたくさん勝ったことの証だ」

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"All that shit in your magazines or on Twitter, it doesn't hurt me,"
Twitterや雑誌の戯言なんてもう気にならない

カヴェンディッシュはそのスター性ゆえに、しばしばメディアやファンからの批評にさらされ続けてきました。カヴェンディッシュのようなスターには、人々は期待をします。そして往々にして、人々は期待を裏切られると手のひらを返したように批判を始めるのです。もうそれについてコントロールしようとすることをやめ、どう受け止めるかを変えたカヴェンディッシュ。

"If I get criticised today because I don't win anymore, it mainly indicates that I have won a lot in the past," Cavendish said. "95 per cent of cyclists never win a race, so I can be quite satisfied with what I have already achieved."
もし勝ててないことを批判されるなら、それは僕が過去にたくさん勝ってきたことの証だ。95%の選手はただの一つも勝てずにいる、だから僕は今まで自分が成し遂げたことに満足できる。

「勝てた」サウジ・ツアーでアシストに徹したカヴ

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"It is the role of every cyclist to ensure his team wins. Usually this means I will be sprinting, but it doesn’t mean I don't know what to do in another role, or that I can't enjoy it. A job is a job. By the way, I rode in the mountains to help [Bradley] Wiggins win the Tour de France. It's nothing new."
チームの勝利に尽くすことはすべての自転車選手に求められることだ。ふつうは僕がスプリントすることを意味するけど、必ずしも僕が他の役割を知らないとか、楽しめないとかいうことじゃない。仕事は仕事だ。ちなみに、ウィギンスの総合優勝のために僕は山岳ステージでアシストした。何も新しいことじゃない。

自身に比べてネームバリューの劣るバウハウスのアシストとしてステージ優勝+総合優勝を献上し、「もう勝つことに興味がないのでは」と一部で囁かれたカヴェンディッシュ。実際のところは本人のみぞ知るところですが、サウジ・ツアーだけの動きをみて、もうやる気がないと決めつけるのは早計だと考えるのがフェアでしょう。

EBウイルスから復調?調子はどうか

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"It's hard to say [if I feel as good as three years ago]. Three years is a long time. But I feel like a cyclist again," he said.
(3年前と同じコンディションかどうかは)わからない。3年は長い時間だ。でも僕はまた自転車選手であることを実感できている。

ここ数年の不調はEBウイルスが原因だったと本人が述べていますが、コンディションが良いかはわからないとのこと。レジェンド、エディ・メルクスのツール34勝まであと4勝と迫ったまま2年間足踏みを続けるカヴェンディッシュ。勝利への自信のほどをベルギーHet Nieuwsblad誌インタビュアーが問うたところ、彼はこう答えたといいます。

"Not at this moment. But if you ask me about it in every interview, I can't help but think about it. July is still far away. I am currently happy with where I am now, okay?"
今はやめてくれ。でももし君が僕にその質問を毎回するなら、僕はそのことを考えずにはいられなくなる。7月はずっと先の話だ。いいかな?僕は今の僕でハッピーなんだ。

旧知の仲、ロッドはカヴェンディッシュの救世主となるのか

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"I am especially pleased that there are still intelligent people in the sport who understand that I still have the ability to continue as a professional cyclist. Like Rod [Ellingworth – Bahrain McLaren manager]. Many so-called friends have dropped me. Not him. I owe him a lot."
今僕が特にうれしいと感じてるのは、優秀な人たちに囲まれてることだ。ロッドみたいにね。たくさんの「友達」は僕を見捨てた。彼は違う。彼には貸しがある。

カヴェンディッシュにとっての希望は、新たなチーム体制、特に新たにバーレーンマクラーレンのマネージャーとなったロッド・エリングワースの存在でしょう。どんなに怪物級の選手も人間です。モチベーションやメンタルコンディションは、環境や周りの人に大きく左右されることは間違いありません。

ロッド「誰もツール出場は確約されていない」

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"Nobody is guaranteed for the Tour. It’s a certain type of Tour this year, and I’m not shying away from saying that it’s an excellent Tour de France for Mikel Landa,"
誰もツール出場は確約されてない。少なくとも、今年のツールはミケル・ランダにとって素晴らしいものになるだろうということは言える。

そんなカヴェンディッシュが信頼を置くロッドは、監督らしくこんな厳しいコメントを残してます。ただしたった一つの条件をクリアさえすれば、カヴェンディッシュは確実にツールに出場できるでしょう。その条件とは「ワールドツアーレベルのレースでの勝利」。

"That dream is still there, he knows it’ll be a hard challenge. If he’s winning at WorldTour level, why wouldn’t we take him?"
夢はまだそこにあって、彼はそれがどれほど難しいことかも知っている。もし彼がワールドツアーレベルのレースで勝てるなら、彼を連れて行かない理由はない。

全盛期のカヴェンディッシュであれば、決して難しくはない条件です。しかし、3年前と現在では事情が違います。新しい若手スプリンターと戦う必要もあれば、病み上がりのコンディションと戦う必要もあります。カヴェンディッシュはツールへの切符を手にし、新たな勝利を積み重ねることができるのでしょうか。

カヴが両手を空に突き上げる姿をもう一度

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"He still wants to win for himself. 100 per cent we want to see Mark Cavendish with his arms in the air again. Where that will be and how it will happen, that’s the question."
抄訳:彼はまだ自分の勝利が欲しいはず。僕らはみんな、マーク・カヴェンディッシュが両手を空に突き上げる姿を見てみたい。どこで、どのようにそれが実現するか。それが問題だ。

カヴェンディッシュが輝く姿をもう一度見たい。そう願うのは、たぶん指揮官だけではありません。

参考ソース

 

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