フィリッポ・ガンナのスーパーパフォーマンスで幕を明けたジロデイタリアが、フィリッポ・ガンナの勝利をもって幕を閉じました。ジロ・デ・イタリアを主観で振り返る記事です。まとめられないけどまとめてみたら、こんな感じになりました。
若きチャンピオン、涙の総合優勝
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第9Sでエガン・ベルナルが背中の痛みからの復活を印象付けるステージ勝利。ツール総合優勝者ながら自身初のグランツールステージ優勝ということで、感極まってインタビュー時には涙が溢れました。ゾンコランではライバルたちに力の差を見せつける渾身のアタックを決めて差を拡げます。16Sで再び優勝するも翌日にまさかの失速。今大会常にベルナルを守り続けたダニエル・マルチネスのアシストを受け、傷口を最小限にとどめました。最終的に総合5位に入った頼れるチームメイトに助けられ、バッドデーを苦しみながらも乗り越えたベルナルは翌日以降は徐々に息を吹き返し、24歳にして2つ目のグランツール総合優勝。若きチャンピオンが戻ってきました。
「もしかすると」があり得る、と言われたレムコ・エヴェネプールは終盤に向け失速し、第18SでDNS。ただ、これが2000年生まれの彼にとっての初グランツール。昨年イル・ロンバルディアでの激しい落車後初レースがこのジロでした。総合優勝すら射程圏内にあった序盤の走りに、王者ベルナルが、そして世界のファンが底知れぬ強さを感じたのは間違いありません。
エヴェネプールが終盤に向け調子を落としていったのに対して、後半に向け調子が上がっていったのはサイモン・イェーツ、ジョアン・アルメイダ。イェーツは2018年、アルメイダは昨年のジロで後半失速してマリアローザを失っており、過去の自分に決別する走りを魅せました。イェーツは第19S優勝と総合3位を、アルメイダは総合6位を確保。
一方、総合優勝の一角だったミケル・ランダは落車でリタイアとなってしまいました。ランダに代わって急遽エースを担ったのがダミアーノ・カルーゾ。今まではニバリなどのスターをアシストしてきたカルーゾが、今度は新城幸也含むチームメイトからアシストを受け、終盤にはベルナルに食らいつく走りで常に上位に食い込みます。第20Sではチーム総動員で攻撃を仕掛けステージ優勝。総合2位となり、転がり込んだチャンスから自身初のグランツールポディウム&ステージ優勝を手にしました。
鮮烈なスプリントで勝利をさらった新星と、意地を見せた本命たち
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スプリント争いも激しかった今年のジロ。第2Sにティム・メルリエが、チームとしても個人としても初出場のジロで初勝利。
第5Sと第7Sでは、カレブ・ユアンが現役最強スプリンターの一角としての面目躍如の勝利。第10Sでは、ペテル・サガンが2年連続2度目のステージ優勝。ボーラハンスグローエの作戦がピタリとはまった気持ちのいい勝利でした。そして極めつけは第13S、ジャコモ・ニッツォーロがつかんだ自身初のステージ優勝。2位ばかりだった過去にさよならを告げる鮮やかなスプリントで待望のてっぺんを獲りました。
一方で不発だったのはヴィヴィアーニ、ガビリア、そしてフルーネウェーヘン。ガビリアは毎回のスプリントで目立ちはしましたが、チームメイトとの接触やサドルが外れるハプニングなど不運もあり、勝利は飾れず。ヴィヴィアーニも良いところにはいるものの最後の一押しが足りず未勝利、フルーネウェーヘンはまだエンジンがかかり切っていないような印象です。
タコに骨なしクラゲに目なし、この逃げ屋たちには骨がある
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タコ・ファンデルホールンが第3Sで自身でも驚きの逃げ切り勝利を飾り、それを皮切りに逃げ屋たちが大活躍したジロでした。
第3S、タコ・ファンデルホールン。
第4S、ジョー・ドンブロウスキー。
第6S、ジーノ・マーダー。
第8S、ヴィクトル・ラフェ。
第11S、マウロ・シュミット。
第12S、アンドレア・ヴェンドラーメ。
第14S、ロレンツォ・フォルトゥナート。
第15S、ヴィクトール・カンペナールツ。
第17S、ダン・マーティン。
第18S、アルベルト・ベッティオール。
と、振り返ってみれば半分近い10回も逃げが決まっています。なお、逃げに限らず今大会でグランツールステージ初勝利をあげたのは13人。まさに日替わりヒーローのジロとなりました。
中でも骨のあるところを見せたのはヴィクトール・カンペナールツ。2017年から5年連続で出場しており、2019年は2回のTTステージでどちらも2位、2020年は逃げで2位が1回、TTでも2位と、あと一歩で手からすり抜け続けて、それでもあきらめずにつかんだ勝利です。
また、ロレンツォ・フォルトゥナートのゾンコラン優勝も印象に残りました。コンタドールとバッソが共同運営するEOLOコメタ所属のイタリア人選手で、コンタドールが自身のインスタライブにて興奮しながら応援する姿とともに。
ツールドフランスに向けポガチャル、ログリッチ、そしてGの準備はどうか
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次に開催されるグランツールはツール・ド・フランス。総合優勝を狙う選手たちの動向はどうでしょう。
昨年ツールの主役であるスロベニアコンビ、ポガチャルとログリッチは共にリエージュ~バストーニュ~リエージュ以来UCIレースを走っておらず、この調整プランがどう出るのかがカギ。また、2人の争いに割って入るであろうと目されているGトーマスは4月ヴォルタ・ア・カタルーニャで総合3位、5月ツール・ド・ロマンディで総合優勝と着々と調子をあげています。
この3人に挑戦する立場となるのがキンタナ。5月初めに開催された1クラスのステージレースで総合優勝しています。アスタナのフルサンも総合争いに絡んでくるとみられますが、36歳となった今年は、好調だった昨年そして一昨年ほどの成績を残せていません。意図的に力をセーブしているのか、それとも調子が悪いのか。
ジロから息つく間もなく、ツール前哨戦と言われるドーフィネが開幕しています。Gトーマス、ゴデュ、マルタン、クライスヴァイク、ミゲルアンヘルロペス、ケルデルマン、フルーム、キンタナなど豪華なGCライダーたちに加え、中根も出場。楽しみなレースシーズンが、まだまだ続きます。
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