フィリップ・ジルベール
トレーニングをしていて、本来のベストまで2%だけ足りないことに気付くとしよう。それから100%じゃないと勝てないということも知っている。ここまでくるとキャリアはもはや生き方になる。もっとトレーニングをして、もっと効率的に、もっとしっかりと規律を保つ。強いチームに頼ることもそう。簡単なことじゃない。でも確かに言えるのは、その苦労ですら恋しく思うだろうということだ。
“When you are training and see that you are missing just a little bit, 2, 3, or 4 per cent and you know that to win you have to be 100 per cent...at that point, your career becomes more like a way of life," he explained. "You have to train more, you have to be more organised and be more efficient, and count on a strong team too. It’s a lot of work. But that’s something I’m going to miss, I’m sure.”
2011年にアムステルゴールドレース→フレシュワロンヌ→LBLとアルデンヌクラシックを総なめにして、続く2012年には世界選手権優勝するなど超人的な強さを見せつけた。なかでもアムステルゴールドレースは4回優勝。キャリア後半には2017年ロンド、2019年パリ~ルーベ優勝と北の地獄をも制した。
ヴィンチェンツォ・ニバリ
一年リラックスして過ごせばいいという人もいるけど、僕はそういうタイプじゃない。家で何もしないなんてできないよ。新しい挑戦が必要なんだ。プロ選手としてのキャリアは終わったけど僕の自転車人生はまだ続く。新しいチームでの役割に向けての準備に忙しくて、とても楽しみだ。
"Some people have told me I should take a year off to relax and enjoy myself but I’m not like that. I don’t want to stay at home and do nothing. I want a new challenge. "My racing career is about to end but my life in cycling will continue. I’m already busy with my role in the new team and that’s exciting for me."
フルームやコンタドールとともに2010年代を象徴するオールラウンダー。グランツール全てを制したうえで、2018年にはミラノ~サンレモを勝つなどクラシックレースでもその強さを発揮した稀有な存在。
アレハンドロ・バルベルデ
何年も競技を続けてきた僕だけど、次のステップではそれが必ずしも評価されるものではない。来シーズンが始まったら奇妙に思うだろう。この世界とはずっと関りを持ち続けることは確かだよ。
"Even though I've spent so many years competing, it doesn't mean that what comes next pays me any respect," he said. "It will be strange when the season starts, for sure, but I'll continue to be linked to this world."
最後まで強かった師匠オブ師匠がついに勇退。4度にわたるリエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝、5度にわたるフレシュワロンヌ優勝、38歳にして世界選手権に優勝などを看板に、その勝利数はスプリンターもびっくりの133。
リッチー・ポート
少しでもレガシーを残せたし、キャリア最後の年にもよい状態でレースを走れたことは嬉しい。16年間海外で暮らした。僕はもう準備万端だ。フォレストガンプも言っているように「かなり疲れたよ。もう家に帰りたい」んだ。
I guess you leave a bit of a legacy and it’s nice I have been competitive in my last year. It has been 16 years of living overseas and I’m ready. Like Forest Gump said, “I’m tired and I want to go home.”
最強のアシストと呼ばれ続けて。グランツール総合優勝こそ叶わなかったものの、パリ~ニースやツールドスイス、ドーフィネ、ロマンディなど1週間程度のビッグステージレースで無類の強さを発揮。2020年は自分のために走る最後のツールで3位表彰台と有終の美。
トム・デュムラン
ここ数年は寂しくなることも時折あったけど、一年中ずっとみじめな気持ちだったわけじゃない。自転車への愛はまだあるよ。もしかしたら、いつかコーチをするかもしれない。ただ今はもう少し、プロチームから離れていようと思う。
“I have sometimes felt lonely in the last few years but I wasn't unhappy all year. And I've never been depressed. I still feel the love for the bike. Maybe one day I'll be a coach but I’m going to stay away from a professional team for a while.”
2017年ジロデイタリア総合優勝、世界選手権個人TTチャンピオン。2018年ジロは総合2位。TTステージで積み上げたグランツールのステージ勝利数は9にものぼる。
ニキ・テルプストラ
でも聞いてほしい。サイクリングからおさらばするわけじゃない。もちろんレースも続ける。こうご期待!
But listen, I am not done yet with cycling. Of course I will continue to race… stay tuned!Niki Terpstra - Instagram
2014年パリ~ルーベ、2018年ロンド優勝をはじめとして最強軍団ウルフパックの中にあり、強き個として存在感を発揮。ウルフパックから移籍後はグラベルロードなどでも活躍。
ミケル・ニエベ
僕にとって大事なのは、リーダーたちがフィニッシュ地点で握手をしてくれること、そして「ありがとう」と言ってくれることだ。
“For me, what matters is the leaders remembering to shake your hand at the finish and say 'thank you,' afterwards,”
ジロステージ3勝、ヴェルタステージ1勝、2016年ジロ山岳賞など。エウスカルテルで結果を残し、スカイ移籍後は頼れる最終盤アシストの一角を占めた軽量クライマー。
ジョバンニ・ヴィスコンティ
偉大なチャンピオンにはなれなかったけど良い選手にはなれたと思う。僕の頭と身体が成し得る勝利は全て勝ち取ったということ。もし少しでも後悔があるとしたら、それは悔いがないことだ。
"I certainly didn't become a champion but I think I was a good rider. I have won what my body and my head have allowed me to win and if I look back I can only have some regrets - no remorse."
ジロステージ2勝、2015年ジロ山岳賞、2007、2010、2011年イタリア選手権優勝など。2000年以降では唯一3回イタリアチャンピオンとなっているミスター・トリコロール。
アレックス・ダウセット
レースの別の側面を探ってみたい。ワールドツアーだけじゃない何かが沢山あるんだ。あと数年はアスリートとして活躍できるはずだから、あれやこれやにチャレンジしていくよ。
“I just want to go and explore other aspects to racing. I’ve seen other sides to the cycling world and there’s a lot more out there than the WorldTour. While I’ve got a few more years of being a pretty good athlete, I want to go and try those bits and pieces.”
ジロステージ2勝。TT強者の揃うイギリスにあって国内選手権個人TTを前人未踏の6回優勝。2015年にアワーレコード樹立。2021年にも2度目の挑戦。
イーリョ・ケイセ
何年ものあいだずっと、偉大な選手をチームメイトに持ち、偉大なレースを走った。僕らは最高の結果を出した。そんなチームに貢献できて、たとえ僕のパートが少しだったとしても、素晴らしい気分だったよ。
Many many years. i've raced with the biggest riders, as teammates. Did the biggest races. We had fantastic results, and being a part of that, or even a small part is an amazing feeling.
ウルフパックトレインのスタメンとして数々の勝利を支えたリードアウト。2015年のジロ最終日、異例の逃げ切り優勝は未だ記憶に新しい。6日間レースなどトラックでも活躍。
中根英登
ただ強くなりたい。誰よりも強くなりたくて。それが続く限りとにかく上にチャレンジしたい、上に行けるだけ行きたいという思いだったから、僕はワールドチーム行きたい!と思ったことは1回もないと思います。シンプルに勝ちたい、強くなりたいと思って活動した結果、そういうチャンスを呼び込めた。
ソニー・コルブレッリ
去年は間違いなくキャリア最高の年だった。人生が何をもたらすかを学んだ。何を奪うのかも。だけど、それもまた別の形で還元されるはずなんだ。
That was the best of my career. I learned what life offers and what life takes. But it also gives back in a different form.
2021年はツールドロマンディやドーフィネでの勝利を皮切りに、イタリア選手権、欧州選手権、そして極めつけにパリ~ルーベ優勝など完全に開花。しかし今年3月レース後意識を失ったことから不整脈が発覚し、復帰叶わず10月に引退を表明。
ピエール・ローラン
ヴォクレールと共にユーロプカーのエースを張り続けたフレンチクライマー。2014年ジロ総合4位、ツールステージ2勝、ジロステージ1勝など。
ベン・キング
自転車を始めたとき、僕は自宅で教育を受けるやせっぽちの少年だった。まるで昨日のことのように思い出す。火曜日の夜、父さんとセブンイレブンにシャーベットみたいな飲み物を買いに行ったこと。ベルギーで道に迷ったこと(あの頃は地図付きGPSなんてなかった)。自転車というスポーツがここまで遠くまで僕を連れてきてくれるかなんて、想像もできなかった。
“I came into this sport as a scrawny homeschooled kid from the Blue Ridge Mountains. It feels like yesterday that my dad and I were filling up our slushies at 7-11 after Tuesday night Worlds, or that I was lost in Belgium before head units with maps existed. I could never have imagined how far this sport would take me.”
ヴェルタステージ2勝、2010年国内選手権優勝など。
イルヌール・ザカリン
人生の新しい章がはじまるけど、それはまだスポーツと結びついてる。Inexクラブはサイクリング好きのために沢山のチャンスを用意している。これは僕が本当にやりたいことで、身をささげるつもりだよ。
“I’m starting a new chapter of my life, and it’s still tied to sports,” Zakarin wrote. “Inex Club is a club for cycling lovers, that provides lots of opportunities. This is what I really like doing, and something I’m going to give myself into.”
細身で手足の長い独特なライディングスタイルで異彩を放った下りが苦手なクライマー。2015年ツール・ド・ロマンディ総合優勝、2017年ヴェルタ総合3位、ジロステージ2勝、ツールステージ1勝。
リサ・ブレナウアー
今年のツールドフランス開催は本当に大きなステップだった。女子ロードレースはとてつもなく発展している。そこにはいつだって、更なる次の前進がある。
“This year you noticed that the Tour de France in particular was a really big step forward. Cycling has developed tremendously in the women's sector. There are always further and next steps forward,"
2014年世界選手権個人TT優勝など。オランダ勢が独占するロードレースでコンスタントに結果を残したドイツの頼れるTTスペシャリスト。トラック種目では2021年五輪チームパシュート金メダル、世界選手権&欧州選手権ともにインディビデュアアルパシュートとチームパシュートで2冠を達成。
来年もよろしくお願いします!
今年も沢山の選手が第一線からの引退を宣言。ビッグネームたちが続々と引退していく姿はある大きな時代の終わりを象徴するようでもありました。一方で、時代なんてものは本当はなくて、どうとでも区切れそうな、どうしようもなくゴチャっとした時間が流れ続けているだけなのかなとも思うのです。そんな感じで終始もっちゃりとしている私の思考の中には定期的に「まあいいや、ロードレースでも見るか」という瞬間があって、今年もロードレースは面白かったし、来年も楽しみで仕方がないのです。ひとまず今は、混沌とした2000年代のレースをそれでも盛り上げ続けてきたスターたちの大団円に大拍手!
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