CXとZwiftとブレイルスフォード。さよなら2021年、ようこそ2022年。
Photo by Michel van Reysen on flickr

あけましておめでとうございます。遅ればせながら12月のランダムサマリー。

シクロクロスアップデート


何と言っても印象に残ったのは、ワウト・ファンアールトの9戦8勝と敵なしの圧倒的パフォーマンス。冬期オリンピック種目入りを目指しているという雪上シクロクロスのPRを兼ねたワールドカップVal di Soleでも盤石のレース運びで雪を制しました。もう一つのハイライトは、トム・ピドコック初のワールドカップ優勝でしょう。ベルギーとオランダが席巻するシクロクロスシーンにおいて、2国以外からの出身選手としてはなんと8年ぶりの勝ち星。ピドコックは、メカトラでワウトが大きく遅れたワールドカップでも危なげない2勝目を収めました。

一方のマチュー・ファンデルプールは12/26に開催されたワールドカップDendermondeでワウトに続く2位とまずまずのスタートを切ったように見えましたが、翌日のスーパープレステージZolderでは途中棄権。痛めた背中の万全な復調に向け、今シーズンのシクロクロスレースをすべてキャンセルことを決めました。さらに、ワウト・ファンアールトも春のクラシックの準備に向けてシクロクロスはナショナル選手権以降は出場を見送ることを表明。

さて、改めてシクロクロス3大シリーズ戦の今シーズンのこれまでの戦績をまとめると、ルシンダ・ブラントの強さが目を引きます。ここまで15勝と勝利を量産中。2年連続のアルカンシェルに向けて視界は良好です。

ワールドカップ

男子 → イゼルビット5勝、ファンアールト、ピドコック各2勝、ヘルマンス、アールツ、ファンデルハール、ファーレントハウト各1勝。残り2戦で総合首位はイゼルビット。

女子 → ブラント6勝、フォス3勝。ベッツェマ、ヴァス、ワースト、ファンエンペル各1勝。残り2戦で総合首位はブラント。

スーパープレステージ

男子 → イゼルビット3勝、ファンアールト2勝、アールツ1勝。残り1戦で総合首位はイゼルビット。

女子 → ブラント5勝、ベッツェマ1勝。残り3戦で総合首位はブラント。

X2Oトロフェー(このシリーズ戦のみポイント制ではなく全レースの総合タイムで競われる)

男子 → ファンアールト3勝、イゼルビット、アールツ各1勝。残り3戦で総合首位はアールツ。(

女子 → ブラント4勝、ホンシガー1勝。残り3戦で総合首位はベッツェマ。

月末に迫るシクロクロス世界選手権

マチューとワウト不在といえども気になるシクロクロス世界選手権の闘い。今年はアメリカ・アーカンザス州のFayettevilleでの開催です。

こちらは2019年秋のワールドカップFayetteville勝者であるカーティス・ホワイトの解説付きコース紹介動画です。晴天であればスピードコースであるものの、雨が降ると途端に重い泥が支配するコースに様変わりするとのこと。一つのキーとなりそうなポイントはサムネ画像の階段セクションです。一般的なコースよりも2倍ほど長い距離の階段がレース展開にどう影響してくるのか。

Fayetteville開催のワールドカップ歴代優勝者はケニー・ワーナー、カーティス・ホワイト、そしてクイン・ヘルマンス(今シーズン)。ヘルマンスはイゼルビット、ファントーレンハウト、アールツらを破ってのワールドカップ初勝利でした。ピドコックが本命と目される中、ダークホースとなり得るか。

一方の女子歴代優勝者はというと、マーガリー・ロシェット、クララ・ホンシガー、そしてルシンダ・ブラント(今シーズン)。世界選手権でもルシンダ・ブラントが大本命であることには疑いがありませんが、2年前のワールドカップ勝者クララ・ホンシガーも今期はX2Oトロフェーで1勝、ワールドカップFayettevilleで3位、Dendermondeでも2位に入るなど侮れない存在です。ブラント、フォス、ベッツェマ、そして伸び盛りの2000年代生まれたち、ファンエンペル、ヴァス、ピーテルスらがどう絡んでくるかというところ。

Zwiftアカデミーファイナル!

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いつの時代も万人の目を画面に貼り付かせてきたリアリティショーですが、自転車版リアリティショーともいえるのがZwiftアカデミーです。女子は2018年優勝のElla Harrisがヘラルド・サンツアーでステージ優勝+山岳賞獲得などかなり良い成績を出していたイメージのある一方で、男子は今まではプロ契約後に結果が残せていなかった印象のある本アカデミー出身者たち。しかし2020年男子優勝者であるJay Vineはアルペシン・フェニックス加入後、ツアー・オブ・ターキー総合2位、ヴェルタ・ア・エスパーニャでもステージ3位&完走と結果を残し、契約を2023年まで伸ばしています。

年々応募者が増え続けているという本アカデミー、2021年は150000人の候補者のなかから男女各5人ずつ、計10名がトライアウト合宿に挑みました。そこからプロ契約を勝ち取れるのは男女一人ずつというサバイバルゲーム。2/150000って、0.0013%です。その中からプロ契約を勝ちとったのは、オランダ出身18歳のMaud Oudemanとオーストラリア出身19歳のAlex Bogna。特に常に頭一つ抜けていたOudemanの走りは圧巻でした。Oudemanはキャニオン・スラムと、Bognaはアルペシン・フェニックスと1年契約を結びました。2人とも線が細くまだまだこれからといった感じもありますが、応援したくなるキャラクターです。

ブレイルスフォードはキャリアの階段をのぼる。エリングワースが実質トップに

スカイ・イネオスの一時代を作ったデイブ・ブライルスフォードがイネオスのHead of Sportに任命されました。

イネオスといえば、ロードレースチームから始まって、フランス一部リーグ上位常連のサッカーチームOGC Nice、ルイス・ハミルトン擁するF1チームMercedes AMG、ニュージーランドラグビーチーム、セーリングチームIneos Britanniaなど、多岐にわたる分野のスポーツチームのスポンサーとして立て続けに名乗りをあげてきた企業。

各チームの間でパフォーマンス向上の相乗効果を生み出すことがブライルスフォードのミッションとのこと。敏腕ビジネスマン、ブライルスフォードにとってはキャリアアップといえるでしょう。

チームプリンシパルとしてイネオス・グレナディアーズには影響力は持ち続けるものの、実質上のトップは盟友、ロッド・エリングワースに譲ることに。ユンボやポガチャルの台頭を受けて、今までの戦い方からの変革を強いられているものの、なお強いイネオス・グレナディアーズ。バーレーン時代はあまり上手くいかなかったエリングワース、ホームで手腕の見せ所です。

参考ソース

 

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