Photo by Donnie Rosie on Unsplash
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今日はツール・ド・フランドル(ロンド・ファン・フラーンデレン)、来週はパリ〜ルーベ!

今年も石畳レースの季節がやってきました。

観客の熱狂とは裏腹に、実は選手には不人気なレース。

Gトーマスも、昨年ツールで導入された石畳ステージに疑問を呈しています。

I still wasn’t certain we should have ridden so much pavé. You don’t want the Tour decided on luck, and what else had afflicted Richie but misfortune? There had been excitement for the viewer on their sofa, but it had all come from punctures and crashing. For riders that’s rubbish. That’s not racing, it’s surviving. Chatting to guys from other teams, most outfits seemed to have had at least four crashes.

拙訳:僕はツールで石畳ステージを入れることに疑問を持っている。ツールの勝利は運だけで決まるべきものじゃない。誰がリッチーの落車を不運じゃなくて実力不足だと言えるだろうか?ソファーで見てる観客は興奮するかもしれない。でもそれは全て落車やパンクに端を発するもので、選手にとってはそんなのクソくらえだ。もはやレースじゃなくてサバイバルだ。他チームの選手と話してみたが、1チームあたり少なくとも4回は落車があったようだ。

確かに、自分では出たいとは全く思いません。

きつそうだし、大怪我しそうだし、機材も壊れそうだし。

フランスの伝説的な自転車選手ベルナール・イノーをもってして「これはロードレースじゃなくてシクロクロスだ。意味がわからない。」と言わしめた石畳レース。

昨年のパリ〜ルーベでは死者も出ており、トップ選手達からの非難はやまない一方で、石畳レースをなくそうという気運が高まる気配はありません。

なぜ人々は石畳に魅了されるのか。命のリスクをかけてまで、なぜ石畳レースは続けられるのか。

調べてみました。

参考記事:

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ライディングスキルがものをいうから。

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“The cobbles help force things to happen in races, so if you’re good at riding them, it’s on. If not, they’re terrifying.”

拙訳:石畳はレースに事件を起こすトリガーになる。もし石畳の走り方がわかってればプラスに働くし、走り方がわかってなければマイナスに働く。特に石畳が濡れていると、思い通りにバイクをコントロールすることは非常に難しくなる。

Joe Parkin(元プロ選手)

私は石畳を走ったことがないので、実際にどんなに難しいものなのかはわかりません。

でも、ライディングスキルが高いはずのプロ選手たちが続々と落車する様子を見れば、どれだけ特殊なスキルが必要とされるのかは一目瞭然です。

“The cobbles are so hard to ride over because they’re jarring, slippery, jagged, and slow. Every bump seems to slow a rider down, and it takes a lot more power to ride over cobbles than riding on a paved road. It would be like trying to ride through four inches of sand or snow compared to a dry road.

拙訳:石畳は神経をすり減らすし、滑りやすいうえにギザギザでパンクしやすい。石畳を乗り越えるたびに選手のスピードは落ちるし、舗装路を走るよりもずっと大きなパワーが必要だ。10cmの砂や雪の中を自転車で進むのを想像してほしい。石畳で走るというのはそれくらいきつい。

Frankie Andreu(5-hour Energy-Kenda teamのディレクター、元プロ選手)

10cmの砂の中を自転車で進んだことがあるでしょうか。

全然乗れません。迷わず歩きを選択します。

ドラマが生まれるから。

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“I usually liked riding and racing on cobbles,” he said. “They give the races so much more flavor. A Tour of Flanders sans cobbles would see many more riders making their way to the finish line, and a cobble-free Paris-Roubaix would certainly be boring as hell.

拙訳:私は石畳レースが好きだった。石畳はレースのスパイスになる。もしツール・ド・フランドルに石畳がなかったら、レースはあんなに厳しいものにならないだろうし、石畳なしのパリ・ルーベは地獄のようにつまらないレースになるだろう。

Joe Parkin(元プロ選手)

石畳なしのパリ〜ルーベ。

「地獄のようにつまらないレース」とはうまいこと言うものです。

“The pavé is the selector,” Andreu said. “It decides who it will chew up.”<略>“There’s nothing like the pavé,” Andreu said. “It turns any race into an epic one.”

石畳はセレクターだ。だめな選手を容赦なく振り落とす。石畳はどんなレースも壮大なドラマにしてしまうんだ。

Frankie Andreu(5-hour Energy-Kenda teamのディレクター、元プロ選手)

スポーツの素晴らしいところは筋書きがないところ。

台本という名のやらせが横行するTV番組は見てるだけで辟易しますが、スポーツは退屈な展開ですら観るのをやめられない。

そこにドラマを生むのが石畳のようなスパイスなんですね。

人々が熱狂するわけです。

自転車レースに使われた石畳は、もはや遺産だから。

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“Some of the roads in Paris-Roubaix are barely ever used — probably once for the race and one other time for a farmer on a tractor,” Andreu told VeloNews. “For one, there is no upkeep, and the bricks last forever. Even the famous Koppenberg in Flanders was rebuilt using most of the original bricks, but smoothed out.

拙訳:パリ・ルーベで使われる石畳は、正直言って殆ど使われていない道だ。おそらく、レースが終わったら、その次のレースまで使われてない。もしかしたら農家のおじさんがトラクターではしってるかもしれないが。驚くべきことに、石畳のレンガは一番最初に使われたものがずっと使われている。最近修復された、フランドルのコッペンベルグのレンガも例外じゃない。少しスムーズになったかもしれないが、レンガそのものが取り替えられたわけじゃないんだ。

Frankie Andreu(5-hour Energy-Kenda teamのディレクター、元プロ選手)

昔は道路といえば砂利道で、それをより走りやすくしたのが石畳の道。

今ですら石畳といえば悪路というイメージですが、「石畳」は走りやすい道路というイメージの時代もあったんですね。

“It’s part of our heritage,” Ramon said. “If at some point they decide to get rid of the pavé, then it’ll be gone for good and you’d erase history. It’d be like tearing down an old building. Look at certain sectors of pavé, like the Oude Kwaremont in Flanders. It’s like a monument lying flat on the ground. And as with any monument, you should treat the pavé the same.”

拙訳:これは僕らの遺産の一部だ。もし石畳が一度レースから除外されたら、もうそれは永遠に忘れ去られてしまうだろう。フランドルの激坂石畳区間、オウデ・クワレモントを考えてみてほしい。地面に横たわる記念碑みたいなものじゃないか。他の記念碑と同じように、僕らは大事に扱わなきゃいけない。

Kristof Ramon(写真家)

昔の町並みを大切にという文化はこういうところにも。

自転車が文化として根付いているヨーロッパならでの考え方でもあるのかなと思います。

石畳レースは巡礼だから。

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“This wasn’t a race. It was a pilgrimage.”

拙訳:これはレースじゃない。巡礼だ。

この言葉、個人的に結構ツボです。

アンリ・ペリシエは、1923年のツールでは2位に30分以上の差をつける圧勝劇を演じたり、ツール産みの親であるアンリ・デグランジュと大喧嘩したことでも有名。何回も離婚した挙げ句、同棲していた女性に射殺されるという悲劇的な最期を遂げたそうです。

 

近年も、ボーネン、カンチェラーラ、サガンといった稀代のスターを生んできたツール・ド・フランドルとパリ〜ルーベ。

今年もサガンは石畳で勝てるのか。TVから目が離せません。

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