「アメリカ版エヴェネプール」クイン・シモンズ。髭面の18歳に全米が期待する理由
Photo by Sean Rowe on Flickr

2019年、ジュニア世界選手権を圧倒的な力で勝利しアメリカの自転車界を熱狂させた選手がいます。クイン・シモンズ、18歳。アメリカがその将来に大きな期待をかける髭面の若者です。

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「イケてる勝ち方」へのこだわり。エヴェネプールを彷彿させる世界選手権の独走勝利。

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"My goal was to win, but if I were to win, it would be to do it from a long way out, and solo. I think that's the coolest way to win."
拙訳:僕にとってのゴールは勝つことだった。でももし勝つなら、長い一人逃げでの勝利がよかった。それが一番イケてるから。

クイン・シモンズは昨年のジュニア世界選手権で残り30km以上を残して一人逃げを完遂。チームメイトが後続を抑えてこその結果だったとはいえ、圧倒的な力を見せつけました。エヴェネプールが2018年の世界選手権で魅せた、落車のビアインドをひっくり返しての独走勝利を彷彿とさせる走り。

「イケてる勝ち方」を目指して、実際に勝てる選手がどれだけいるでしょうか。シモンズは、それができる数少ない逸材なのです。

ロードレースデビュー2年でつかんだ世界タイトル

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"In two years, from not knowing how to race a road bike, to world champ, is pretty crazy,"
拙訳:ロードレースのいろはを何も知らない状態から2年間で世界チャンピオンになった。クレイジーだね。

アメリカのジュニアMTBシーンで活躍していたシモンズがロードレースデビューをしたのは、なんとわずか2年前。2018年の4月にアメリカのValley of the SunでいきなりTTとロードレースを制し、翌月にヨーロッパの初レース、ジュニア版ヘント〜ウェヴェルヘムで3位に入ります。

超級MTBレース、Leadville 100で覚醒

「前を走る選手達が後ろを振り返り、僕が来るのをみて驚くのは最高だったよ」

ロードレースデビューの翌2019年、ジュニア版ヘント〜ウェヴェルヘムで優勝してヨーロッパのジュニアロードレースシーンを席巻したシモンズはアメリカの超級MTBレース、Leadville 100(160kmのMTB耐久レース)でさらなる進化を見せます。度重なるパンクで10分以上遅れながら、先頭集団に追いつき、EFのモートンやトレックのステティナといったワールドツアーチームの選手を破って2位に入ったのです。

そのスイッチは「感情」。

"It just felt like something that shouldn't be happening and I got really frustrated," Simmons told Velonews after the race. "And that's why, when I started going, I was so mad that I figured I would ride as hard as I could until I blew up."
起っちゃいけないことが起こったから、本当にイラついた。だからこそ、(パンクを直して)走り出してからは、怒りのままに、ダメになっても良いと全力でペダルを踏んだんだ。

「ダメになっても良い」と全力でプッシュしたのにもかかわらず「ダメ」にならずに最後までプッシュしとおせたところにシモンズの底知れない力を感じずにはいられません。

所属チームのマネージャーだったニックマンは、その激しさをグレッグ・レモンやランス・アームストロングになぞらえ、こう語りました。

"Quinn has this ability to tap into emotion, this fierceness, this race intelligence, that few people have," he says.
拙訳:クインには感情スイッチを入れる才能がある。この凶暴さとレース勘を伏せ持つ選手はほんの少ししかいない。

そんなクイン・シモンズですが、今年、そして来年以降、どのチームで、どのようなレースを走るのでしょうか??

若き才能の熾烈な争奪合戦はトレックに

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クイン・シモンズの獲得には、世界選手権前からいろんなチームが動いていたとされています。出身国アメリカを代表するフレームメーカー、スペシャライズドをスポンサーに持つクイックステップボーラ、現在ヨーロッパの拠点とするオランダにゆかりのあるサンウェブ…。

その中でサンウェブはU23育成チームで一年間だけ走ることを条件にオファーを出しますが、シモンズはできるだけ早くエリートカテゴリーでのレースを走ることを選びます。

最終的にはアメリカチームのEFトレックが具体的なオファーを出しました。マネージャーだったニックマンによれば、特にEFのジョナサン・ヴォーターズは喉から手が出るほどシモンズを欲しがったそうです。しかし最終的に彼が選んだのはトレックとの契約。シモンズの気持ちを尊重したニックマンはその判断について、こう語ります。

"In the end, it wasn't money and it wasn't schedule; it purely came down to feel, and trust, based on the conversations he had with each team."
拙訳:最終的には、お金でもなくスケジュールでもなく、直観と信頼に基づいた判断だった。彼自身が直接いろんなチームと話した結果のね。

パリ~ルーベに勝つ。それが夢。

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トレックでオファーされたレーススケジュールには多くの春のクラシックレースが含まれていました。強豪ひしめくクイックステップやボーラであれば出場チャンスは少なかったかもしれませんが、デゲンコルブを放出し、ペデルセンの調子が読めないこのチームであれば、シモンズには今後も多くのチャンスが与えられるのかもしれません。

実際、春先のクラシックが延期/中止になるまで、シモンズはル・サミンなどのクラシックに出場していました(ただし、ル・サミンなど200kmを超えるレースではいずれもDNF。もともとそういうプログラムなのか、洗礼を浴びているのかは本人たちのみぞ知るところ)

「総合系選手でもなく、TTスペシャリストでもなく、クラシックハンターになりたい。」

そう明言するシモンズに「パリ~ルーベは?」と聞いたところ、こう答えたそうです。

 “That’s the dream.”。それが夢だ、と。

参考ソース

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