別府、グライペル、ダンマーティン、トニマル、ファンデルブレッヘン…。2021年限りで最前線から引退する選手たち。
Photo by Josh Hallett on flickr, McSmit on wikimedia commons

別府史之が引退。新たなステージへ。

その知らせを聞いて思い出したのは2009年ツール・ド・フランスの熱狂でした。今になってなお、別府や新城のゴールスプリント、シャンゼリゼを逃げる別府の姿と共に、ティーンエイジャーだったあの頃の、夢に溢れる気持ちを思い出します。それと同時に、どこか上の空で聞き流していたオバマ大統領当選やリーマンショックのニュースだとか、トレーニング途中の激うまガリガリ君で頭キーン、iPhone自慢ボーイ、暇つぶしトランプ、こだわり君のオリジナルルールのトランプ、トランプで負けたらクランプ、そういう断片的な記憶がよみがえっては消えていくのです。

ああ、これがきっと世のティーンが言う”エモい”という感情なのだと思うのですが、確信を持って言えることもなく、私はティーンエイジャーではないということを逆に確信するのです。2009年は気づけば12年前。私たちは歳を取り、過ぎ去る時間の早さを感じ。焦りを感じ。いくらか現実という波にやられ、去っていった時間へ少しの後悔を持ちながら、それでもなお前を向いてすすんでいるのです。そうやって一方向に流れていった私の時間の背景には、いつだってロードレースがありました。

今年も沢山の選手が第一線から退いて、新たな一歩を踏み出します。きっとこれからも、レースファンの脳裏には彼らの走りが浮かんでくることがあるでしょう。今回の記事では、名前をみて記憶の琴線にふれた選手たちをほんの一部だけご紹介。

すべての引退する選手たちに、感謝&フェアウェル!

別府史之

View this post on Instagram

 

A post shared by ???????? ????? ? (@fumybeppu)


FUMY。

自分の中では、もはや後ろには目を向けていません。この間のレースで、僕の選手としてのストーリーは書き終えた。今はむしろ、新しい章を、もうすでに何ページか書き進めているような状態です。

ロマン・クロイツィゲル

View this post on Instagram

 

A post shared by Roman Kreuziger (@r_kreuziger)


2008年ツールドスイス総合優勝、2009年ツールドロマンディ総合優勝、2009年クラシカサンセバスチャン優勝、2012年ジロステージ優勝、2013年アムステルゴールドレース優勝、2013年ツール総合5位など。

What next? I'm going to take a breather for a few days, and then in November I am off for the first training camp with Team Bahrain Victorious.
次は何かって?数日だけ息抜きをしたら、11月にはチーム・バーレーン・ヴィクトリアスの合宿に向けて出発するよ。

ミッチェル・ドッカー

View this post on Instagram

 

A post shared by Mitch Docker (@mitchbowen)


主にワンデーレースでエースを支える名アシスト。2011年パリ~ルーベ15位。2016年パリ~ルーベではマチュー・ヘイマンの優勝を支えた。自チーム動画はもちろんCycling Podcastなど多数メディアに登場してオージー節を披露。自身のポッドキャストLIFE IN THE PELOTONも運営中。

“People told me they had enjoyed watching me on TV and I thought ‘When was that? I am never even on TV!’” he says with a laugh. “It’s just great that people appreciate you for what you did, for the insights you gave them at some point. You know your teammates appreciate your work but it’s nice to know you were seen by others too.
みんなが僕をTVに映るのを楽しんでいたと言った。それで僕は思った「それいつ?TVの画面に映ったことなんてないよ」って(笑)。皆に感謝され、何かしらの影響を与えたというのは素晴らしいことだ。チームメイトはいつだって感謝してくれるけど、他にも見てくれる人がいたんだってね。

アンドレ・グライペル

View this post on Instagram

 

A post shared by Andre Greipel (@andregreipel)


ツールステージ11勝、ジロステージ7勝、ヴェルタステージ4勝。カヴやキッテルのライバルであり、「ゴリラ」の愛称で親しまれた。遅咲きながら晩年までトップパフォーマンスを維持した不動のトップスプリンター。

So tomorrow’s stage will definitely be my last in the Tour de France and after 2021 I will also retire, so the end of the year will be a point at the end of my career
明日のステージは僕にとって最後のツールドフランスだ。そして2021年をもって引退をする。だから今年きりで僕のキャリアは終わりとなる。

クーン・デコルト

View this post on Instagram

 

A post shared by Koen de Kort (@koendekort1)

トレックセガフレードのチームキャプテンとして、プロトンのなかでも尊敬を集めたアシスト選手。トレックのマネジメント側として活動する予定。

“I'm not on the start lines with them anymore,” he says. “But I think I have built up a strong relationship with most of the riders and therefore I think I can ask quite a lot of them. Hopefully, I can show them that I can really help them.”
もう彼らと同じスタートラインには立つことはない。だけど、僕は殆どの選手達と強い関係を築けたと思っているし、沢山のことをお願いできると思っている。本当に僕は彼らの役に立つんだということを見せたいね。

ダン・マーティン

View this post on Instagram

 

A post shared by Dan Martin (@danmartin86)


2013LBL優勝、2014ロンバルディア優勝、ツールステージ2勝、ヴェルタステージ2勝。ジャパンカップでも2010に優勝。グランツールトップ10の常連。2021年もジロでステージ1勝を挙げた。

I will always be a cyclist; I won't hang up my wheels, just my race number.
僕はずっとサイクリストだよ。ホイールを外すわけじゃない。外すのはレースナンバーだけだ。

ニコラス・ロッシュ


ステファン・ロッシュの息子という重すぎる看板を背負いながら。2013,2015年ヴェルタステージ各1勝。2013ヴェルタ総合5位。

You know, my life has been a real rollercoaster between my divorce and everything. The last couple of years have been pretty hectic. I think I just want to take a breather as well. I’m only human, after all.
これまでの僕の人生は、離婚だとかいろいろなものがあってローラーコスタ―のようだったんだ。特にここ数年は本当に目まぐるしかった。ただ少しだけ息抜きがしたいだけなのかもしれない。結局のところ、僕はひとりの人間なんだ。

ケヴィン・レザ

View this post on Instagram

 

A post shared by KevIsBack (@kevreza2)


アフリカにルーツを持つフランス人のパイオニアとしてプロトンで存在感を放っていたレザ。

This time, I feel the hour has arrived and I have no problem saying it. For many riders, retirement is a taboo subject but it’s far from traumatic for me
時が来たんだと感じただけで、口に出すことには何の抵抗もなかった。沢山の選手にとって引退はタブーになりうるけど、僕にとってはトラウマでもなんでもないんだ。

トーマス・マルチンスキー


ヴェルタステージ2勝。同郷のポランスキーとともに、血管浮き上がる脚の写真で話題になったことも。

ファビオ・アル

View this post on Instagram

 

A post shared by Fabio Aru (@fabioaru1)


2015ヴェルタ総合優勝、2015ジロ2位、2014ジロ3位。ジロステージ3勝、ヴェルタステージ2勝、ツールステージ1勝。

ティージェイ・ヴァンガーデレン


ツアー・オブ・カリフォルニア2013総合優勝、ジロステージ1勝、クリテリウム・ドーフィネで総合2位2回、ツールでは総合5位2回。引退後はEFのDSに。

“The honest truth is that I don’t feel super effective as a bike racer anymore,” he said. “Once your ability starts to be less than it was, you have to find a way to make yourself effective. I was really motivated by the rise of Hugh Carthy, and I wanted to be able to mentor him and help him
本当のことを言えば、自転車選手として最高に役に立てるという気分がもうしないんだ。一度自分の能力が以前より落ちていると感じると、他に自分が役に立てることを探さなきゃいけない。僕はヒュー・カーシーの台頭にモチベーションを貰った。彼をサポートしたいと思ったんだ。

マティアス・フランク

View this post on Instagram

 

A post shared by Mathias Frank (@mathifrank)


ヴェルタステージ1勝、2015年ツールドフランス総合8位。

I’ve been a professional for 14 years and the seasons are starting to weigh in. During all these years I have lived a childhood dream that has become reality
14年間のプロ生活を送ってきて、だんだんと重荷となってきた。この年月は、子供の頃の夢に生きた素晴らしい時間だった。

ロメン・シカール

View this post on Instagram

 

A post shared by Romain Sicard (@ro_sicard)


2009年U23世界選手権、ツールドラブニール総合優勝と、鳴り物入りでツールに参戦して目立った走りをした。若いころから将来を嘱望されていたものの、今年、心臓の問題で引退を余儀なくされた。

So the game is over. Because life is not a game.
ゲームは終わった。なぜなら人生はゲームではないから。

トニー・マルティン


世界選手権個人TT4勝、ツールステージ4勝、2011パリニース総合優勝。ドイツ国内TT選手権10勝。引退レースの世界選手権チームリレーで優勝して有終の美。

From A to Z, it's perfect
AからZまで、すべてがパーフェクトだ。

アンナ・ファンデルブレッヘン

フレシュワロンヌ7勝、ジロローザ総合優勝4回、世界選手権RR2勝。オールスターチームSDワークスの監督に就任。

It's been nice to finish my season in this way, without pressure and without goals to reach. It was just about enjoying my last race.
シーズン最後のレースを、到達すべきゴールを持たず、プレッシャーもなく走れたことはとても良かった。ただ最後のレースを楽しむ、それだけだったから。

 

―□

スポンサーリンク

Twitterでもタイムリーにつぶやいてます