マッズ・ペデルセン(24)「(アルカンシェルを着て)なくても僕は大丈夫だ」自然体な若き世界王者
Photo by Jérémy-Günther-Heinz Jähnick on WIkipedia

多くのファンが怪物マチューの覚醒を期待した昨年の世界選手権、だれも予想しなかった世界チャンピオンが誕生しました。

マッズ・ペデルセン。当時23歳のニューフェイスです。

世界王者の証である虹色のジャージ、アルカンシェルを着て臨んだ2020年のツアーダウンアンダーでは、絶対的エースであるリッチー・ポートのアシストとして総合優勝に貢献。サガン、バルベルデといったプロトンの「主役」たちの後を継いだことで、世界王者としては「ネームバリュー不足」とも一部では囁かれる若者のインタビューをまとめました。

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(アルカンシェルを着て)なくても僕は大丈夫だ

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“I could be without it,”
抄訳:(アルカンシェルを着て)なくても僕は大丈夫だ。

豪メディアCYCLINGTIPSがツアーダウンダンダー中にインタビューした際に、ペデルセンはこんなコメントを残しました。

同メディアの記事によればペデルセンは「even less interested in answering questions and appearing on camera.(カメラにアピールしたり質問に答えたりすることに消極的だった)」といいます。サガンがメディアを煽りファン受けするような名言を数多く残し、ファンに対しても数々の神対応をしていたのに対し、ペデルセンは目立つことを避けているようだ、と。

「世界王者だからといって、必ずしもリーダーなわけじゃない」

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“In the media I get a lot of pressure and people don’t always understand that just because you’re a world champion, [doesn’t mean you’re] the leader,<中略> Just because I won world championships doesn’t mean that I’m such a better rider.<中略>I still have to work and this is a race for Richie [Porte], so I’m picking up bottles for him.”
抄訳:メディアでは多くのプレッシャーにさらされる。世界王者だからといって、必ずしもリーダーなわけじゃないってことをみんな理解してないんだ。世界選手権に勝ったいうだけで、僕が他よりずっと優れてるということにはならない。<中略>僕にはする仕事があるし、これ(ツアーダウンアンダー)はリッチーのためのレースだ。だから僕は彼にボトルを運ぶ。

ちょっと冷静に考えればわかるのですが、アルカンシェルを着てるからと言って常にリーダーを任されるとは限りません。

ツアーダウンダンダーでいえば、ペデルセンはあくまでポートのアシスト。そして決して無視できない事実として「ペデルセンがいなければリッチー・ポートは総合優勝できなかった」と言われるほど、彼のアシストには光るものがありました。ポートはその働きを称賛して次のようなコメントを残しています。

“Mads pretty much single-handedly took two minutes out of the 26 guys up the road,” Porte says later. “He’s a fantastic guy. When he won Worlds — a few days after, he said to me that he would come down to Tour Down Under and help me to try and win the race.”
抄訳:ほぼ一人でマッズは2分差ついた26人の逃げを捕まえた。素晴らしい男だよ。世界選手権に勝った数日後に、彼は僕にこう言ったんだ「ツアーダウンダンダーではアシストをさせてくれ。君に勝たせてみせる」

ポートのためにボトルを運び、無線を直し、逃げに乗り、逃げをつぶし、ポートを牽引し…。アシストとしてチームに期待されたありとあらゆる役割を果たしたペデルセンは132位でレースを終えています。

確かにペデルセンにはサガンやバルベルデのようなスター性はまだないかもしれません。それでも、若くして精神的に成熟したプロフェッショナルな自転車選手だということは、これも同じくらい確かにいえることなのではないでしょうか。

「父がトラック運転手をしなくてもすむように、僕は自転車屋を開いた」

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“My family is really important to me and it’s important for me to stay around. My dad is working in my bike shop. I opened it so that he had something to do. <略> I said that when I was 15 that if I ever earned enough money from cycling to help him stop being a truck driver then I would do it.”
抄訳:家族と一緒にいることは、僕にとってとても大事なことだ。父は僕の自転車屋で働いてる。彼がなにかできるようにと僕が開いたんだ。<略>15歳の時に、もし僕が将来自転車でお金を稼げるようになったら、父がトラック運転手をしなくてもすむように(自転車屋を開く)と約束したんだ。

昨年の世界選手権でだれよりも注目を浴びていたマチューと、注目されずにタイトルをさらったペデルセンは、実は2013年のジュニア世界選手権でも直接対決をしています。マチューが集団から一人抜け出し、後続の先頭をスプリントでとったペデルセンは2位となりマチューの後塵を拝す形になりました。

それから6年後の2019年、ペデルセンは世界選手権という同じ大舞台でマチューに対して鮮やかなリベンジを果たしたのです。

同年代のマチューが自転車界のレジェンドたちからなるサラブレッド一家で育ったこととは対照的に、ペデルセンは自転車とは全く無縁の家族の中で育ちました。サッカーやバトミントンをやってもチームスポーツが性に合わず、トラック運転手だった父の買ってくれた自転車にハマり始めます。

2013年にジュニア世界選手権で2位に入り、翌2014年にコンチネンタルチームに加入。2015年には若手の登竜門ツールドラヴニールで、2016年にはツアーオブノルウェーでステージ優勝を飾るなど順調に勝利を重ねたペデルセンは、2017年にトレックでワールドツアーデビューを果たします。

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