今週はクリスマス。

自分へのご褒美に、大切なあの人へのプレゼントに、ロードバイクとかマウンテンバイクはいかがでしょうか?

…ということで、今回の記事は女性向けモデルについて(強引)。

というのもちょっとCYCLING TIPSでおもしろい記事があったので。

「ロードバイクとかマウンテンバイクの女性向けモデルがどんどんなくなっている」という話です。

スペシャライズドは世界で最も人気を誇った女性用エンデュランスロードバイクであるRubyシリーズをラインナップから除外。トレックはほとんどの女性専用(WSD:Women’s Specific Design)設計のラインナップを廃止。SCOTTも同様の流れに乗り、アメリカブランドは一つの流れを生み出そうとしています。

その一方で、CanyonやLivといったメーカーは依然として豊富な女性向けモデルをラインナップ。

自転車メーカーはどこに向かっているのか?女性向けモデルの未来は?

まとめてみました。

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そもそも男女の体格差は思ってた以上に少ない、という説

SPECIALIZED「研究の結果、男女の体格差は思ってるよりずっと小さいということがわかった」

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(2018年世界女王ファンデルブルッヘン擁する強豪女子チームBoels - Dolmans Cycling TeamのスポンサーはSpecialized)

フィッティングの専門会社Rutulとスペシャライズドが共同研究を始めたのは2014年。テーマは「女性向け自転車は必要かどうか」。研究のゴールは、女性向けモデル開発プロジェクトにより大きな資金を投入するだけの根拠をみつけるため。メインの層が大きく男性に偏る自転車という趣味の領域にあって、女性向けモデルは各メーカーにとって大きなポテンシャルをもっていたわけです。

解剖学的な観点から体の様々な部位を分析し、Rutulは何年もの間データを集め続けました。そのデータからバイクジオメトリと仕様についての男女差をわりだそうとしたところ、意外な結果が。従来の常識であった「男女の体格差」は思ってるよりもずっと小さいということがわかってきたのです。

従来の「女性の方が足が長くて胴体が短い」という通説は、かなりしょぼい研究(とはいっても米軍が実施したものらしい)から結論付けられたもので、とくに信頼に値はしないとのこと。Rutulとの共同研究結果は”When to Share Product Platforms: An Anthropometric Reviewとしてまとめられていますので興味あったら読んでみてくださいね。サンプル数は7750です。

“We created the women’s specific movement,” Kaplan said. “It’s not about uncreating it, but it’s about changing the perception on it.”

(ユニセックスモデルへの回帰は、女性向けモデル開発の)流れをとめることではなく、見方が変わったことを意味する。

TREK「ユニセックスモデルは、誰もがより多くの選択肢を与えられるということ」

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(トレック・セガフレード女子チームの顔は元世界王者リジー・ダイグナン)

そして、トレックもスペシャライズドと同じく、同社が提供するフィッティングサービスから得たデータから「ジオメトリの男女差は思ったより小さい」という結論を導きます。

まあ確かに、男性でも女性でも大きい人もいれば小さい人もいますし体格なんて人それぞれですから、ベストのバイクなんてものは人によって変わるなんて言われた日にば「そうですね」と頷くしかありません。

“I think that’s just kind of natural evolution for the industry,” Anders Ahlberg, Road Product Manager at Trek said. “It’s not a bad thing that women’s specific bikes were brought to the market. Trek wanted to try and cater to women, and wanted to get women more comfortable with getting into the sport. As Trek moves towards a more unisex platform, everyone gets more choice regardless of their color preference, regardless of their size, regardless of their riding style. It’s better for women, better for everyone.”

拙訳:業界の自然な進化だと思う。私達はサイクリングをもっと多くの女性たちのもとへ届けようと努力した。今トレックはユニセックスを基本とした方向に向かっている。誰もがより多くの選択肢を与えられる方向にね。色、サイズ、乗り方…。この変化は女性にはもちろん、すべての人にとって良い変化だ。

YETI「フレームじゃなくてパーツを調整するのが良い」

アメリカ・コロラドをベースに活動するマウンテンバイクメーカのYetiも同様の動きをしています。2015年にYeti Betiシリーズと呼ばれる女性向けモデルを発売していたものの、7月に女性向けモデルを今後継続しないことを発表。もともとフレーム自体は同じでしたが、色とコンポのオプション、サスペンションの仕様などが女性用にカスタマイズしていました。

“The Yeti Beti line leveraged our existing frame platform. Our fundamental design remained, and instead, we focused on adjusting touchpoint components – crank length varied by frame size, handlebar width, smaller diameter grips, women’s specific saddle and tuning the rear suspension to achieve better performance for lighter riders.”

拙訳:Yeti Betiシリーズはそもそも今までのフレームを活用したものだったの。ベースとなる設計は同じにして、代わりに体との接点となるパーツ(クランク長やフレームサイズ、ハンドル幅やグリップの太さ、サドルなど)を調整することで体重の軽いライダーによりよいパフォーマンスを出せるようにした。

Juliana「女性特有のジオメトリがあるとは思わない」

そして、女性用モデル専門のマウンテンバイクブランドJuliana。実はMTB界では有名なメーカーSanta Cruzのラインナップと全く同じフレームを使っています。これは子供だましみたいなマーケティングなのでしょうか?

“We don’t believe in women’s specific geometry,” she said. “We believe that women want a bike that doesn’t let theory compromise real-world handling. They want a bike that’s been refined to have the most appropriate reach, height, and overall geometry for the terrain they’re riding. And that’s what Juliana has offered from the very beginning.”

拙訳:私達は女性特有のジオメトリなんて信じてない。私達が思っているのは、女性が現実が理論のために妥協したような自転車には乗りたくないはずだ、ということなの。彼女たちはライドのために洗練されたジオメトリの自転車に乗りたいのだけ。Julianaは最初からそこだけをめざしてる。

ではなぜ他のメーカーは女性用モデルにこだわるのか

そんなこんなで女性専用のジオメトリモデルなんて必要ないみたいな流れになりかけてしまいましたが、目を転じてみれば、実のところ女性用ジオメトリを採用したモデルを多くラインナップし続けるメーカーもあるのです。代表的なのは、コストパフォーマンスに優れたブランドであるキャニオンとジャイアント。

CANYON「自社収集データによれば、男女でジオメトリは違うと結論」

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(Canyon-sram女子チームは2018世界選手権チームTT王者)

キャニオンはもともと、男女でジオメトリが同じフレームを使いカラーリングだけ変えて女性用モデルとしていました。

しかし、顧客データを集め続けるうちに(キャニオンはネット直販なので購入したいお客さんは自分の身体データを測って入力することが求められる)、女性には前後にギュッとしたようなジオメトリ(高いスタックと短いリーチ)がより適していると結論づけます。データ数については明らかではありませんが、かなりの数にのぼるでしょう。

彼らが唱える説は「女性は男性より背が低く、おなじ胴の長さなら2cmほど腕が短く、骨盤の柔軟性が高い

ふむ。

2017年に女性向けジオメトリのロードバイクシリーズを、2018年には女性向けジオメトリのマウンテンバイクシリーズを発売開始。トレックやスペシャライズドとは全く逆の道を進んでいます。興味深いですね。

LIV(GIANT)「マイナーチェンジではなく基本から設計している」

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(女王マリアンヌ・フォスが操るのはLIV)

台湾の巨人GIANT傘下のLivは女性用モデル専門ブランド。豊富なラインナップが特徴で、強豪女子チームをバックアップしています。

LIVが女性向けジオメトリが必要と判断した根拠はPeoplesizeというデータベース。

データ数は約300で、9ヶ国の老若男女のものなんだとか。

“I believe if women want to feel comfortable and perform well on a bike, she should try a bike that has been designed specifically for women’s geometry and anatomy,“ Bonnie Tu, founder of Liv Cycling, said. “We don’t tweak another bike to adjust for a woman, instead we look at how women’s bodies are built and work while riding, and build the frame around that.”

拙訳:もし女性が快適に自転車に乗りたいなら、そしてより良いパフォーマンスを出したいなら、女性専用のジオメトリとアナトミーで設計されたバイクを試すべき。私達は、他をマイナーチェンジして女性用モデルを開発するのではなく、女性の体がどのように構成されていて、自転車に乗るときどのように動くのか、そうした基本的な観察からフレームを設計しはじめるの。

結局私たちは、楽しくなりたいだけなんだ

ふむふむ面白い面白いと読みすすめながらも、私の中でむくむくと育って消えない思いが一つ。「トレックとかスペシャライズドは、女子用自転車市場が小さいのが数年のテストマーケティングでわかったからもうこれ以上資金投入しないっていう判断しただけなんじゃないか。さすがアメリカの会社はドライな経営判断下すな」という考え。自分のひねくれ具合を再確認した冬なのでした。

その一方で「なるほどね!男女だれでも同じジオメトリで良いと色々と楽だね!男女平等すばらしい」と思うとてもピュアな私もいるわけで、そこは自分を自分で褒めてあげたい。

自転車メーカーも限りあるリソースで万人に向けて商品をつくらなきゃいけないわけで、いろいろと苦労がありそうです。

まあ結局、私達は自転車そのものがほしいわけじゃなくて、自転車乗ったりいじったりしながら楽しくなりたいだけなんですよね。一人ひとりそれぞれの「その自転車を買う理由」があればそれで十分です。正しいとか間違ってるとかじゃなく。

いじるよりも乗る専門なら「アフターケアちゃんとしてくれる信頼できる人に聞いてみよう」

いじるのも乗るのも好きなら「フレーム買っていろいろいじってムフムフしよう」

そんなかんじ。もはや男子も女子も関係ない結論ですが以上です。

参考

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