マチューとワウトのライバル物語。デヘントに「ロードレース出場禁止の嘆願書を…」とまで言わせたシクロクロスの王者たち。
Photo by Daniel Sturgess | @daniel_sturgess on Unsplash

アムステル・ゴールドレースを始め春先のクラシックで暴れまわったマチュー・ファンデルプール。2015,2019年のシクロクロス世界王者。

ドーフィネで個人TT獲ったと思ったらスプリントも獲って世界を驚かせたワウト・ファンアールト。2016,2017,2018年のシクロクロス世界王者。

共にまだ24歳の若武者です。

デヘントに「今後4年間ロードレース出場禁止の嘆願書を書くからみんなサインしてくれ」とまでネタツイートさせたこの2人(ちなみにもうひとり、イヴェネプールもその中に含まれていました)は若い頃からずっとライバル。その類まれなる強さから一時は不仲説まで流れましたが、良きライバルとして知られています。

以前のブログで実はあえてすっ飛ばした部分がこのマチューとワウトのライバル物語。

今こそシェアしたい話だ!と思い書き始めた次第です。

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輝きのファンデルプール・粘りのファンアールト

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(2015年にエリート世界選手権を21歳で制したファンデルプール)

ファンデルプールのプロキャリアは、ベルギーのライバルであるワウト・ファンアールトと切っては切り離せない関係にある。2014年、ファンアールトがU23の世界タイトルを手にした時ファンデルプールは3位。翌年、共にエリートの世界選手権デビューしたときもまるで前年のU23レースを見せるかのような走りでファンデルプールが優勝、ファンアールトが2位。その後もファンアールトは2016、2017年と2年連続で世界選手権を制し、一方で調子が良い時のファンデルプールはワールドカップ等の一級レースを圧倒的な力で制していった。

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(ファンアールトは2016年から世界選手権3連覇)

ファンデルプールとファンアールトの最たる違いは走り方・魅せ方だ。ファンデルプールが卓越したハンドルさばきで自転車を操るのに対し、ファンアールトはそのスタミナとパワーに定評がある。ファンデルプールの方が身体的能力が高いかもしれないが、ファンアールトは精神力が強い。メカトラが起きたり調子が悪かったりすると、ファンデルプールはたまにフィニッシュまで流して走ったりする一方で、ファンアールトはどんな状況でも最後まで全力を尽くす。

ファンデルプールは意志の弱さが一番の弱みだと自分でも認めている。

“My weakness in the past was the running sections, because I could never do running training, especially the uphill sections running, but I think I have improved that as well this year,” Van der Poel said. “Now my biggest weakness may be when I have a really bad day, I don’t keep the fight long enough, and I tend to give up and focus on the next race. For now that doesn’t happen a lot, but when you have a really bad day, maybe I should fight a little bit more, but I immediately think about the next races and try to focus on that.”

(拙訳)かつて僕の弱みはランニングセクション(担ぎ区間)だった、なぜなら一度もトレーニングしてなかったから。特に登り区間でのランニングはね。でも今年は上手くできるようになってきた。今の僕の一番の弱みは諦めの早さ。バッド・デイがあるとすぐに諦めて次のレースに気持ちを切り替えてしまうようなところがある

レポーターのSchotteは、ファンデルプールが先頭でレースを展開することが得意であることは秘密でもなんでもないと語る。

“If Mathieu’s shape isn’t 100%, then for him it’s not possible for him to go in 100%, whatever that 100% still is,” Schotte said. “So, I think his character is not as strong as Wout’s is sometimes. And as soon as he’s not having all of his capabilities, all his possibilities, then he starts doubting maybe a bit too quickly. As opposed to Wout, who is really made of character, and even if he’s fighting for second place, he will almost never give up, and he will still try and hope. And if you ask me, that’s the beauty of the current races.”

(拙訳)「もしマチューの状態が100%でなければ、彼は自分の限界までプッシュすることはできないだろう。自分の100%が出せないとわかった時には、ちょっと早すぎるタイミングで諦めたりするんだ。一方でワウトは例え2位争いであっても決して諦めたりせず、最後まで望みを捨てずにトライする」

伝説のライバル物語を継いだ、若武者2人のストーリー

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(数々の名勝負を繰り広げたアルベルトとネイス)

どちらが勝とうとも、明らかなのはニールス・アルベルト、スヴェン・ネイスというシクロクロス界伝説の2人のライバルの物語をファンデルプールとファンアールトは継いだということだろう。

アルベルト2014年の28歳での引退、ネイス2016年の40歳での引退に前後して、2人はシクロクロス界を席巻した。そのあいだの世代、Kevin PauwelsやTom Meeusenなど、を完全にごぼう抜きにして。

ベルギーで20年以上自転車競技を追うSporzaのレポーター、Renaat Schotteは言う。

“It comes so fast after the Nys-Albert era. That was about the big duel,” Schotte said. “I don’t think anybody expected to have a duel of this standard so soon. So what lacks for the moment, is that those two guys don’t have the maturity yet of the champs like Niels Albert and Sven Nys at the time. We all knew [Van der Poel and Van Aert] had talent, but we didn’t expect them to be so dominant so early.”

(拙訳)「ネイス-アルベルト時代が終わると共に彼らはやってきた。誰もこんなハイレベルなライバル物語がもう一度こんなにすぐ見れるなんて予想してなかっただろう。彼らが才能ある若者だということはみんな知っていた。それでも、ネイスやアルベルトが持っていた成熟さや貫禄をまだ持ち合わせていなかった彼らがこんなにも早くレースを支配するようになるとは思わなかった」

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