興味深いニュースが流れてきました。

オレグ・ティンコフが1700万ポンド(約24億円)を出してチームスカイを引き継ぎたいとの報道(CyclingWeekly, Cyclingnews)。

しかし、Cyclingnewsの続報では、ブレイルスフォード(スカイのマネージャー)がオファーを断ったとした上で、ティンコフからのコメントを独自入手し掲載

「私はブレイルスフォードを尊敬しているし、メッセージのやり取りもしている。でもこのニュースはくそだ。」

ただのデマの可能性もありそうです。

自転車界をざわつかせる男、オレグ・ティンコフは一体何者なのか?ということについて調べてみました。

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オレグ・ティンコフの自転車チーム

2006年、ロシアで3番目のプロ自転車チームとしてティンコフ・レストランを発足したのがティンコフにとってはじめての自転車チームへの関わりでした。

中心メンバーはロシアのトラック・ナショナルチームで活躍していた選手たち。独走力に定評があったミハイル・イグナティエフ、パベル・ブルなどが初期メンバーとして加わります。

しかし、監督とティンコフのそりが合わずチームはすぐに崩壊。

2007年、ティンコフ・レストランはティンコフ・クレジット・システムとして再編成します。イタリア登録のプロコンチネンタルチームに格上げとなり、タイラー・ハミルトンが加入したことで世間の注目を浴びました。

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2008年にジロ・デ・イタリア出場を果たしたチームは拡大のフェーズに突入。

ロシアの巨大エネルギー企業であるイテラやガスプロム、テック系企業のロステクノロジなどをスポンサーに迎え、オール・ロシアともいえる陣容を敷いたチーム、カチューシャが設立されます。

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しかし、2011年、ティンコフは成績不振と監督との不仲を理由にチームから追放されてしまいます。

それでも諦められないティンコフは、2012年からビャルヌ・リースのチーム(CSC、サクソバンクの系譜をつぐチーム)に資金提供しながら、虎視眈々と自分のチームにする機会を伺います。

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そして、2013年12月。ティンコフはティンコフ・スポーツ A/Cの資金を使ってサクソバンク・ティンコフを正式に買収。2014年シーズンから晴れてメインスポンサーとなりチーム名も”ティンコフ・サクソ”となりました。

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もとからチームに所属していたコンタドールは2014年のヴェルタを制覇。2015年にはコンタドールに加えてピーター・サガンをチームに迎え、派手なチーム作りを推し進めました。

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しかし、その3月に監督のビャルヌ・リースを解雇してしまいます。理由は方向性の不一致。

ビャルヌとオレグは全くもって違う性格だった。ビャルヌは口にする言葉について発する前に熟慮して無駄なエネルギーを使わないようにしていた。一方、オレグは脳みそと口の間になんのフィルターもないみたいに、全て思ったことを口にした。それがどんなに誰かを傷つけたり、どう考えてもおかしいものだったとしても。
みんな、僕のことをどっちかというとオレグみたいな性格だとおもっているけど、本当は、僕は誰かに無礼に振る舞ったりすることがとても嫌いだし、不快に思う。
皆には”クレイジーなやつ”と思われているかもしれないが、僕はいつだって親切にするよう努力している。

その後もティンコフの気まぐれな発言に振り回されながらも、コンタドールやサガンをはじめとするチームメンバーは成績を出し続けます。

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コンタドールの2015年ジロ、最後のグランツール制覇、2015年、2016年のサガンの世界選手権連覇といった輝かしい栄光を見届けた後、CSC、サクソバンクの系譜を継ぐ名門チームは突如解散に至りました。

スポンサー撤退を決めたティンコフが売り先を探したものの、買うところが現れなかったためです。

撤退を決めたその当時、インタビューでオレグ・ティンコフはこう言い残しています。

「何シーズンかの間ロシアで家族とゆっくり過ごしたあと、私はまた自転車界に戻ってくるつもりだ。フルームが引退したときがそのタイミングだと思う。私はツールに勝つために戻ってくる。」

一方で、今回のニュースの続報ではこんなコメントも。

自転車界に戻ってくる予定はまったくない。

どっちなんでしょう。

ティンコフのやんちゃエピソード

アンチに対して、中指を立てる。

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サガンのTシャツ作ってうきうきする。

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コンタドールのジロ制覇が嬉しすぎて、髪の毛をピンクにしてしまう。

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表彰台で、選手より目立つ。

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あのサガンでさえも辟易。

オレグが”ティンコフ”の名のつく世界タイトルが大好きなのはわかるだろう?
”ティンコフの”コンタドールでも、マイカでも、サガンでもない。
ただの”ティンコフ”だ。勝者”ティンコフ”。チャンピオン”ティンコフ”。

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まあ、大まかに言って選手や監督に評判良くないのがティンコフです。

しかしその一方で、もう一つ私が気になったこと。

それは、なんでティンコフそんなお金持ってるの?という話。

出回っている情報は億万長者ってだけで、他に情報あまりないので簡単に調べてみました。

切れ者実業家としての横顔

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ティンコフが最初に立ち上げた会社は、Daria(ダリア)という冷凍食品会社。1997年、ティンコフ30歳の時でした。

会社を成長させることに成功したティンコフは、2001年にそのDariaを売却。

そのお金でTinkoff Beer(ティンコフ・ビール)とTinkoff Retaurants(ティンコフ・レストラン)を新たに設立しました。

2005年にはビール事業をベルギーのInBevに売り渡します。

そして2006年、HImmashbankという銀行を買収し、現在のビジネスであるThinkoff Credit Systems(ティンコフ・クレジット・システムズ)を創業しました。

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同社は、ロシア初の支店を持たない100%デジタルな銀行で、テクノロジーを用いたデータ処理により人件費を始めとするコストの大幅な削減に成功しました。現在ではロシア国内のクレジットカード第2位のシェアを占める巨大企業となっています。

2013年にはロンドン証券取引所に上場を果たし、11億ドル(約1200億円)を調達。Financial Times系列の雑誌にて、同年のBank of the Yearに選出されました。

2015年には社名をTinkoff Bank(ティンコフ・バンク)に変更。

2017年にはThe Banker(金融雑誌)がロシア国内のBank of the Yearに、2018年にはGlobal Finance(金融雑誌)がWorld's Best Consumer Digital Bankに選出しています。

現在Tinkoff Bankの52%程度の株式をティンコフ自身が所有しており、今でも最大のビジネスです。

その他にも高級ホテルチェーンブランド”La Datcha”を立ち上げてフランスやイタリア、ロシアでチェーン展開しており、ティンコフが今最も熱中してるのはこの分野。

一言で言うと、ティンコフはいくつもの会社を立ち上げてきた連続起業家(シリアル・エンタープレナー)だということ。そして、少なくとも成功させてきている。

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超・できる男です。

現在のForbesランキングは1103位で、純資産は22億ドル(2400億円)と公表されています。スカイに24億円出すとか言う噂ですが、これでもポケットマネーの1%も満たない額ということになります。

ビジネスで成功しているからと言って自転車チーム運営も成功するかといえばそうでもないかもしれませんが、その資金力と決断力は常人には到底真似できるものではありません。

なぜ、そんなに自転車が好きなのか?

そんな大富豪が、なぜそんなに自転車レースに熱をあげているのか?

答えはシンプルです。

昔、自転車ロードレースにハマっていたから。

Wikipedia情報ですが、12歳から自転車にハマっていて、学校のクラブ活動で自転車クラブに入ってからの長い付き合いなのだそうです。

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すぐに選手と一緒に自転車乗りたがるのは、そうしたバックグラウンドがあったからなんですね。

自分が情熱を傾けたスポーツだから、あんなにも興奮できる。

ちょっとだけ、分かる気がします。

最後に

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どんだけ監督とそり合わないんだ(笑)というのが第一印象。

かなり人間性に問題がありそうなお騒がせ男ティンコフ。たまに会うなら良いけど、一緒にいたら疲れそうなタイプですね。

でも、実業家としてはめちゃくちゃ成功している。

もしかしたら運なのかもしれない。でも、こういうクレイジーな人こそが、自転車ロードレースをもっと面白く変えてくれるのかもしない。そう思ったりもします。

スカイのスポンサーについての話は信憑性がなく、本当だとしても話は進まなそうですが、これからもティンコフはメディアをざわつかせていく、これは間違いないでしょう。

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